不動産コラム

2025年8月9日

オフィスの照度(ルクス)基準と照明計画の考え方|物件選定で押さえるポイント

オフィスの明るさ(照度・ルクス)は、従業員の作業効率や眼精疲労に直結するだけでなく、法令上も最低基準が定められている重要な要素です。2022年12月の事務所衛生基準規則改正により、一般的な事務作業の照度は300ルクス以上に引き上げられました。さらにJIS Z 9110(照明基準総則)は推奨照度として作業内容ごとの目安を示しており、実務では「法令の最低基準」と「JISの推奨値」の二段構えで照度計画を考えることになります。

本稿では、オフィス物件を検討・契約される方向けに、照度(ルクス)の基礎、現行の法令基準とJIS推奨値、照度測定の実務、照明器具の種類と特性、物件選定時にチェックしたい照明関連の確認項目を整理します。新規入居時の照明設計や、既存オフィスのリニューアル検討の前に押さえておきたい観点を網羅しています。

オフィスの明るさ(照度・ルクス)は、従業員の作業効率や眼精疲労に直結するだけでなく、法令上も最低基準が定められている重要な要素です。2022年12月の事務所衛生基準規則改正により、一般的な事務作業の照度は300ルクス以上に引き上げられました。さらにJIS Z 9110(照明基準総則)は推奨照度として作業内容ごとの目安を示しており、実務では「法令の最低基準」と「JISの推奨値」の二段構えで照度計画を考えることになります。

本稿では、オフィス物件を検討・契約される方向けに、照度(ルクス)の基礎、現行の法令基準とJIS推奨値、照度測定の実務、照明器具の種類と特性、物件選定時にチェックしたい照明関連の確認項目を整理します。新規入居時の照明設計や、既存オフィスのリニューアル検討の前に押さえておきたい観点を網羅しています。

ルクスとは何か(オフィス照度の基礎)

ルクス(lx)は、ある面が受けている光の量を表す単位で、1平方メートルの面が1ルーメンの光束で照らされたときの明るさを1ルクスとします。つまり「作業面に届いている光の量」を数値化した指標です。光源そのものの強さを示すルーメンや、人がまぶしさを感じるカンデラとは別の概念です。

同じ照明器具を使っていても、天井高、机の位置、壁や床の反射率、家具の配置によって作業面の照度は変わります。設計値どおりに点灯していても、レイアウト変更で局所的に暗い席が発生するのはこのためです。物件契約時の天井照明の能力確認に加え、入居後のレイアウト計画と合わせて照度を検証する視点が欠かせません。

オフィスに求められる照度基準(法令とJIS)

事務所衛生基準規則(2022年12月改正)

事務所衛生基準規則は、事務所の作業面における照度の最低基準を定めています。2022年12月1日施行の改正で従来の3区分が2区分に整理され、現行は次のとおりです。

  • 一般的な事務作業:300ルクス以上
  • 付随的な事務作業:150ルクス以上

これは「これ以上は確保しなければならない」という最低ラインです。視作業の精度や従業員の年齢構成によっては、最低基準を満たすだけでは作業性が不足する場面があります。

JIS Z 9110(照明基準総則)の推奨照度

JIS Z 9110は、視作業ごとの推奨照度を「維持照度」として示す国家規格です。法令の最低基準とは性質が異なり、快適性と作業効率を含めた目安として広く参照されます(直近では2024年12月に改正)。事務所まわりの代表的な維持照度は次のとおりです。

  • 事務室の作業面:750ルクス(推奨値)
  • 会議室・応接室:500ルクス前後
  • 役員室・玄関ホール:300〜500ルクス
  • 廊下・階段・休憩室:100〜200ルクス

実務上は、法令最低基準(事務所衛生基準規則)を下限としてクリアしつつ、JIS推奨値を作業性の目標値として参照する二段構えで設計します。値の差は「最低限の安全水準」と「快適に働ける目安」の違いと理解しておくと混乱しません。

空間ごとの目安

  • 執務エリア(一般事務):300ルクス以上を確保し、JIS推奨の750ルクス前後を目指す
  • 会議室:500ルクス前後(資料を読みつつ画面投影もする想定)
  • 受付・エントランス:300ルクス前後(視認性と落ち着きのバランス)
  • 休憩スペース:100〜200ルクス(リラックス用途)
  • 廊下・通路:100〜200ルクス

照度の測定と維持管理

測定方法の基本

照度の測定は、JIS規格に対応した照度計を作業面(机上)に水平に置いて行います。事務所衛生基準規則では、6か月以内ごとに1回、定期的に照度を測定する旨が定められています(数値の基準は前述)。測定点は1か所ではなく、執務エリアを複数のメッシュに区切って計測し、最も暗い箇所を含めて評価することが重要です。

経年で照度は下がる

照明器具は使用時間とともに光源が劣化し、また器具本体や反射板にホコリが付着することで作業面照度が徐々に低下します。設置直後と数年後では、同じ器具でも届く光の量は変わります。定期測定で実測値を記録し、清掃や球替え(LEDの場合は器具更新)の判断材料にすることが、最低基準を割り込まないための実務的な備えになります。

オフィス照明の種類と選び方

器具の役割で分ける

  • ベース照明:天井全面に配置して空間全体の照度を確保する。多くのオフィスで主役になる照明
  • タスク照明:机上のデスクライトなど、作業面を局所的に補強する照明。全体照度を上げずに必要な席だけ明るくしたい場合に有効
  • アンビエント照明:壁面や天井に間接的に光を当てて、空間の質感を整える照明。受付や応接で活用

近年は、ベース照明を抑えてタスク照明で補う「タスク・アンビエント照明」の考え方が省エネ面でも採用されやすくなっています。ただし最低照度の確保が大前提なので、ベース照明を下げる場合は必ず実測で検証します。

色温度の選び方

LED照明は色温度(ケルビン:K)の選択肢が広く、空間の印象と作業性に影響します。

  • 電球色(おおむね2700〜3000K):暖色寄りで落ち着いた雰囲気。応接・休憩室向き
  • 白色〜昼白色(おおむね4000〜5000K):自然光に近く、執務室で広く採用される
  • 昼光色(おおむね6500K前後):青みのある色味で、細かな視作業に向くが長時間ではやや疲れやすいとされる

用途ごとに色温度を変える「ゾーニング」を採用するか、調色機能のある器具で時間帯に合わせて切り替える方法があります。

物件選定時に確認したい照明関連項目

オフィス物件を契約する段階で、照明まわりは見落とされがちですが、入居後の作業環境とコストに直結します。内見・契約時に次の項目を確認しておくことをおすすめします。

既存照明の状態

  • 既存照明の種類(蛍光灯/LED)と、おおよその更新時期
  • 器具の点灯状態(ちらつき・色ムラ・点灯しない箇所がないか)
  • 天井伏図上の器具配置と、想定するレイアウトとの相性

電気容量と工事の可否

  • 契約電気容量(増灯や調光器追加に耐えられるか)
  • 原状回復条件(照明器具を入替・追加する場合の取り扱い)
  • 天井タイプ(システム天井/在来天井)と、器具更新時の工事範囲

自然光と窓まわり

  • 窓の方位と外光の入り方(朝・夕でグレア=まぶしさが出ないか)
  • ブラインドやロールスクリーンの設置状況
  • 外光が画面に映り込みやすい席が発生しないか

照度がもたらす影響と注意点

照度が低すぎる環境は、文字や画面が見づらくなり眼精疲労や姿勢の悪化を招きます。一方、明るすぎる、あるいはグレア(まぶしさ)の強い環境も疲労感の原因になります。「明るければ明るいほど良い」ではなく、視作業の内容に合わせて最低基準と推奨値の幅に収めることが基本です。

また、近年はディスプレイ作業(VDT作業)の比率が高まっており、画面と周辺視野の明るさのバランス(コントラスト)も考慮する必要があります。窓際席で画面に強い外光が当たるレイアウトは、照度値そのものに問題がなくても作業性を損ないます。レイアウト確定前に、太陽の入り方を時間帯ごとに把握しておくのが安全です。

よくあるご質問

Q. 300ルクスはどの程度の明るさですか

事務所衛生基準規則の最低ライン(一般的な事務作業)にあたる照度です。文字の読み書きやキーボード入力は可能ですが、JISが推奨する執務室の維持照度(750ルクス)と比べるとやや暗く感じる水準です。法令違反にはならないものの、長時間の集中作業を主用途とする席であれば、ベース照度の引き上げかタスクライトでの補強を検討する価値があります。

Q. 照度の測定はどのくらいの頻度で必要ですか

事務所衛生基準規則では、6か月以内ごとに1回、定期的に作業面の照度を測定することが定められています。測定結果は記録として残しておき、低下傾向が見られた段階で器具の清掃や交換を計画するのが実務的です。

Q. 既存ビルの蛍光灯をLEDに切り替えたいのですが

器具ごと交換するのか、ランプ部分のみ入れ替えるのかで工事規模と費用が変わります。賃貸オフィスでは原状回復の取り決めにも関わるため、契約条件と貸主の承諾範囲を事前に確認することが必要です。器具タイプや天井形式によっては、既存の電源工事が再利用できないケースもあるため、見積前に現地確認を行うのが安全です。

Q. 窓際の席が明るすぎてつらいときはどうすれば

外光が直接画面に当たる場合、ブラインドやロールスクリーンで光量を調整するのが基本です。ベース照度を下げると今度は奥側の席が暗くなりやすいため、まずは窓まわりの遮光と席の向きを見直し、必要に応じてタスクライトで個別に補正する順序が現実的です。

まとめ

オフィスの照度は、事務所衛生基準規則の最低基準(一般的な事務作業で300ルクス以上)と、JIS Z 9110の推奨照度(事務室で750ルクス前後)の二段構えで考えるのが基本です。法令を下限として確保したうえで、視作業の内容や従業員の構成に合わせて推奨値に近づけていく姿勢が、作業性と健康配慮の両方に資する設計になります。

物件選定の段階では、既存照明の状態、電気容量、原状回復条件、自然光の入り方までを合わせて確認しておくと、入居後の照明計画で大きな手戻りを避けられます。名古屋市内でオフィスをお探しの方は、内見時に照度関連の情報も合わせて当社までお気軽にご相談ください。

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